それほど、大好きな美琴に構ってもらうのが好きらしい。
俺から見ると謙也さんの表情はもうデレデレに見える。
「じゃあ、志樹。これの完成日は一週間でいいんだね?」
「はい、お願いします」
謙也さんはデザイン画をズボンのポケットにしまい、ソファーに背をついた。
「それにしても、まさかあれを説得できるなんて。志樹、君は何者なんだい?」
「普通の人間ですよ。それに…説得したと言うより条件を出されたんです」
そう言った俺に、美琴は「はあ?んなこと聞いてないんだけど」みたいな顔で俺を睨んでる。
(当たり前。まだ誰にも言ってないし)