「ゆあ、おはよおー。」
今日は中学の入学式。私は小学校からの友達、ゆみと待ち合わせをしていた。
「ん!おはー。昨日からさ、入学式怖くてねれなかったんだけど!!ウケるよね」
そう、私、神田ゆあはかなりの人見知り。仲良くなっちゃえば話せるんだけど、知らない人とは目を合わせることすらできない。
「式の最中にぶっ倒れたりしないでよ。ゆあ、すぐ貧血おこすじゃん。」
春の匂いがする。風が吹いて癖のかかったロングヘアーがゆれる。少し寒いかな。
「ゆみ、もうちょっと早く歩こうよ。遅れたらやだし。」
私はそう言っては大恋愛の舞台となる、北部中学校に急いだ。



『一組担任、唐沢あい先生…』
クラス分けでは案の定、仲の良かったゆみとは分かれてしまった。無事に入学式も終え、各教室に移動する。

やだなぁ。ゆみがいたらいいのにっ。

席について先生の話を聞きながらぼーっとクラスを見回してみる。私が初対面でするのは、心の中で彼氏候補探し。

うん。イケメンもいるじゃん。だけど、この中で彼氏にするならあの人かな。

私が見ていたのは、くせ毛のもっさりした髪の毛を頭にのせて、ふにゃっと笑っている一人の男子。顔は…ふつめん?もっとイケメンはいたのに、私はその男の子になんだかひかれた。