「誰だっけ?」
私達しかいない静かな部屋の中で彼の声だけが嫌に響いた。
真っ白なシーツにうすピンクのカーテン、独特の消毒液みたいな匂いが私を現実ではないどこかに連れて行ってしまいそうだった。
「私は、有栖川ありす(アリスガワ アリス)。」
今度は私の声だけが響いた。
彼は少し考えるそぶりをみせた。顎に手を当てうつむきながら眉間にしわを寄せる。その行動がちゃんと考えてくれてるのだと私に伝えてくる。
そして、目の前にいるのは本当に彼本人なのだと現実も突きつけられた。
「ごめん、わからない。」
申し訳なさそうに眉を下げて誤った。
「いいよ、大丈夫。」
名前を聞いても、実際に話していても彼は私のことを思い出せない。それは、今までのこともすべてなかったことになっているのだろうか。私は怖くて尋ねることができなかった。
彼、結城幸(ユウキ ユキ)は記憶を失っていた。
私達しかいない静かな部屋の中で彼の声だけが嫌に響いた。
真っ白なシーツにうすピンクのカーテン、独特の消毒液みたいな匂いが私を現実ではないどこかに連れて行ってしまいそうだった。
「私は、有栖川ありす(アリスガワ アリス)。」
今度は私の声だけが響いた。
彼は少し考えるそぶりをみせた。顎に手を当てうつむきながら眉間にしわを寄せる。その行動がちゃんと考えてくれてるのだと私に伝えてくる。
そして、目の前にいるのは本当に彼本人なのだと現実も突きつけられた。
「ごめん、わからない。」
申し訳なさそうに眉を下げて誤った。
「いいよ、大丈夫。」
名前を聞いても、実際に話していても彼は私のことを思い出せない。それは、今までのこともすべてなかったことになっているのだろうか。私は怖くて尋ねることができなかった。
彼、結城幸(ユウキ ユキ)は記憶を失っていた。