――教室には、普段となんら変わりない光景が広がっている。


優雅に脚を組んで前を見据える彼は、ちがう何かをみている気がしてならない。


この教室にいる人間全員が、普通に授業を受けているようで受けていない。

彼の存在を、彼の纏う空気を、自分の意識から完全に切り離すことができないでいる。


それは他四人にも言えることだが、この人は特に。

降り注ぐ陽光ですら、彼の美しさを引き立たせる要素の一つでしかないのだから。



観察結果

音ノ宮綴は正真正銘キングである。