「じゃあ、アリサの写真、撮ってやるから。」

「私、コウちゃんの写真欲しいのにー。」


そう、俺は写真嫌いで実はアリサと一枚も写真を撮ったことがない。



「でも、冬の海岸に誰もいないだろ?」


見渡す限り海と砂浜だ。



「そうだけど…分かった。じゃあ、私の後にコウちゃんの撮るから!まず、コウちゃんが私を撮って!」

俺はカメラを受け取り、内心、ニヤリとした。


そう、さっき横目で見たとき、残り枚数があと一枚しかないのに気づいていたからだ。


アリサの写真だけ撮ってしまおう。


「ほら、撮ってやるから。カメラ貸して。」

アリサがカメラを渡して、俺にピースして、笑いかけた。