ものごころついた頃にお父さんの姿はなかった。

お母さんは私の為に一生懸命、毎日クタクタになる程働いていた。

2歳の誕生日。


いつもよりうんと早く。
お日さまが沈まないうちに保育園まで迎えに来てくれたのが最初の記憶。

帰りに買ってくれたショートケーキをどうしても自分で持ちたくて。


だけど、アパートの階段でずっこけて大泣きした。



ーーーそれからしばらくすると私のアパートの隣に“コウちゃん”が引っ越して来た。


コウちゃんのうちにも、お父さんの姿はなかった。