「…んせー、先生!田中さんが泣いてます!」



クラスメイトの声で私はハッとした。



「なんでもな…」



「いいのよ、田中さん。皆さん。物語を読んで感動するのはとても良いことです。悲しかったら泣いてもいいのです。それはとても自然なことです。恥ずかしいことではありません。」





違う。


そんなんじゃない。


その後も先生はカンジュセイ?の大切さをしばらく話していたが、どうでもよかった。




私は、別に物語が悲しくて泣いただけじゃない。


マナミがコウちゃんにキスしたのが許せなかっただけだ。