私は結局陸の自転車の後ろに乗ってしまった。


「つかまってろよ?」

『う、うん。』


良くマンガなんか見てると、女は男に抱きついて自転車に乗ってる。でも私はどうしていいか分かんなくて、自分が座った銀の鉄をぐっと握った。

陸…、私にもちょっとは望みあるのかな?少しは頑張ってもいいのかな?


「悠生ー!先行ってるぞ!」


え?


『ねぇ。どこ行くの?』


乗ったはいいけど胸がいっぱいで行き先なんか聞いてなかった。


「俺んち。悠生はコンビニ寄ってから来るから。」

『あ、うん。』


陸んちか。いいのかな?なんか胸が飛び出ちゃいそうだよ、私。


「到着ー。はい。」

『ありがとう。』


陸が手を貸してくれて、私は自転車から降りた。


「ここで待ってるか。」


陸はマンションの階段に座った。


『…怖かった。』

「まじで?あはは。」


陸は私を見上げて笑った。


『おっきかった。』

「何が?」

『陸の背中。』