どこにでもあるような街だった。
いつも行っている街と代わり映えしないような街だ。

ただいつもの所より少しだけ緑が多くて、ただそれだけだった。高いビルも、がやがやとした街の声も。全部同じなのに。


どうしてこんなに足がひるむのだろう。




「どうして、ここに来たの?」

こんなに怖いと思ったのは初めてだった。


「ヒユウ?」



後ずさりする私を覗き込む彼が、
ぐらぐらと嗤う。



「やめ、やだ、やめて、」


私を呼ぶ、ヒユウ。ヒユウが私の頭の中をかち割るように叫ぶ。