セツナ。セツナ。セツナ。

私の脳内はもうとっくに彼の声で埋まっていた。もうほかの声なんて、思い出せないくらいに。



彼の声しか聞こえなくなる前に、私は腐った紙くずを拾い上げて、読む必要がある。




「一つだけ、聞きたいことがあるの」




確認しておかなきゃ、いけない。

彼が頷くことを知っていて聞く、どうしようもない確認だ。それでも彼が頷いてくれたら私はどう生きたらいいのか決められるから。