車がゆっくりと動き出す。 私は彼から目を逸らせない。 「セツナが俺を忘れたくないって思うほど、会いに行くよ」 彼の整った唇が言葉を紡ぐのを私はじっと見つめた。彼の紡ぎだした言葉が私の空っぽな入れ物にぴったりとハマっていく。 いつかこの人を忘れたくないと思う日が来る。 そんな気がした。