乗って、とスマートに開けてくれた車に乗り込むと静かにエンジンがかかって車が走り出す。


彼の行う仕草は文句のつけようがないほどに完璧だった。

真っ白な肌と漫画から飛び出してきたような顔立ち。彼と一緒にいると自分がもう2次元にいるような錯覚に陥る。



「セツナは、お寿司すきだったけど…今は?どう?」

好きなもの。
普段は面倒でコンビニ弁当か栄養補給用のゼリーを適当に買って食べているけど、私はなにがすきなのだろう。

私の記憶上、食べたいと思ったものを買ったことがない。

いつも買っているものは頭にインプットされているから、それを自然と買っているという感じだ。

ようするに私の食べるものは習慣化していて、自分の欲求で食べるものを決めることはほぼ0に等しい。