ようやく家について一段落した頃、私はなんとなくノートを開いていた。


帰り道で手を繋いだ不思議な白い人。


明日になったら彼に会ったことも綺麗に忘れてしまうかもしれない。きっともう会えない気がする。そうなると私は完全に思い出すことすらできない。


何故かそれが嫌だと思った。

そういえば、彼の名前はなんだったか。今日聞いたことなのに。聞いたことは覚えている。ちゃんと覚えているのに。それなのにどうして名前だけ抜け落ちてしまうのだろう。


わからない、それでも顔は覚えてる。

彼の歪んだ表情も優しい表情も。