「ごめん、深雪」

見たくもない彼のつむじが見えるこの世界が憎たらしかった。

「どうして謝るの?」
「1年半も付き合ったのに、こんなんで、ごめん。深雪は悪くないんだ」

典型手な言葉ばかりを吐き出しては、頭を下げる姿にうんざりする。こんな姿を見ている自分にさえも、うんざりした。

こんなにつまらないことを言う人じゃなかった。もっともっと、素敵で。素敵で、なんだったんだろうか。もっとって、いったいなにがもっとだったんだろう。もう何も見えない。

見たくもなかった。

「ねえ、」

いきなり呼びかけた私に怯えたように下げていた頭をあげる。

ふわりと茶色みのがかった髪の毛が揺れた。

「私、あなたのそんな姿を見たくて一緒にいたわけじゃない」
「今のあなたは、今までで一番嫌いよ」