「もどってきて」


私の名前。
私の深雪。






「セツナ?」


____私の赤く染まりかけた手のひらを白い手のひらが突然覆い隠した。

見覚えのない手に思わず、逃げるように後ずさる。

「セツナ、だよね?」

私の目の前に現れたその人は、手のひらと同じ真っ白な顔を和らげて笑う。

真っ黒な髪の毛に赤い夕焼けの色が反射して、燃えているようだと思った。


「セツナ?」

セツナ、という単語を何度も繰り返すその人は一向に反応を示さない私を不思議に思ったらしい。とんとん、とゆっくり肩を叩いて「セツナだよね?」と繰り返した。


それでも私にはそれが分からない。

聞いたことのない単語を何度繰り返されても理解できるはずがなかった。