◆好き嫌いに理由なんていらないでしょ?◆





キュッ、キュッ……

ダンッ…ダンッ…

平日の放課後、体育館に響くシューズとボールの音。ドリブルする度に鳴り響く独特なその音は、張り詰めたような緊張感と、僅かな高揚感をもたらす。

ピピーッ…!!

「休憩でーす!!」

休憩のタイムを報せるホイッスルと掛け声。それを合図に部員達は流れる汗を拭ったり、水分補給をする。

「はい、ドリンクです。しっかりと水分補給をして下さい。あ、先輩!さっきのアシストとても良かったです!!」

私は、男子バスケットボール部のマネージャーとして、練習の記録や応援、アドバイスなど諸々の仕事をこなす。

今の時期、夏の全国大会に向けて猛特訓中なため、特に忙しく、部員達もいつも以上にピリピリしている状態。

(もっと頑張って皆を支えなくちゃ…)

ここ天宮高校は、バスケットボールの名門校で、厳格な指導の下練習が行われている。そのせいか、マネージャーが次々集まっても練習の厳しさや仕事の量の多さに体がもたず、どんどん辞めていく…。

今や私1人の為、仕事量も多く負担が大きい。
けど、私がここで食いつかなきゃ、誰もこの部を支えられない。