「あ、マネージャーと御堂が帰ってきた」

「おいおい捜したんだぞー?一体どこに行ってたんだ?」

浜辺に戻ると男子部員たちが二人に駆け寄る。

「悪ぃ悪ぃ。ちょっと買いもんしてたー。ふぁ……」

腕を頭の後ろで組み、伸びをしながら欠伸を一つ。

「買い物?」

チラリ、と美晴の服装に目線をやる部員達。

(あ、そうだ、着替えたんだった…!)

途端にソワソワし出し、落ち着かない様子を見せる。

「あ、あの……」

あまりの視線の鋭さに居た堪れない気持ちになり、何かしらの弁明をしようとしたら、

「マネージャー可愛いよ!! それ超似合ってる!!」

「へ?」

似合っていない、と言われると思っていたせいか、予想外な反応に情けない声が出る。
男子部員たちはマネージャーの方へ駆け寄り、見た目の変化について質疑する。

「それ、さっき買ってきたんすか?」

「う、うん、まぁ…」

「似合ってるよ」

「ありがとう…」

「御堂の奴も捨て置けんなー、こんな幼馴染みを持つとは」

「うーん、そうかな?」

これで思う存分遊べると思っていたが、これでは遊ぶ所の話ではなくなる。このままじゃ会話だけで終わってしまう気がした為、美晴は大きな声で言う。

「ちょ、ちょっと!早く遊ばないと時間がなくなるよ!?」

その一言で我に帰る部員達。
遊びが再開され、それぞれが元の場所に戻る。

美晴は既にいなくなってしまった叶多の所に行こうと捜し歩く。しかし、なかなか見つからずビーチの奥まで進んでしまう。

(うーん、ここにも居ない。どこに行ったの、アイツ?さっきのお礼に何か奢ろうかと思ったのに)

諦めて元来た道を辿る。が、それも阻まれてしまう。何故なら目の前によく知った人物が立っていたから。