2人以外誰もいなかったコートの端で部員達が見守る中、不安と混乱を隠しきれない美晴はオロオロしながら試合の動向を見守る。
(急になんで挑戦なんか…)
意味不明な行動をし出した幼馴染みに疑問を抱きながら見つめる。
余裕そうな笑みで叶多を見る藤原に、挑戦的な目で見つめる叶多。
一体どういう試合になるのか全く予想がつかない。
色んな不安で見つめる美晴に聞こえぬように、藤原は叶多に話しかける。
「お前、相当芹崎が好きなんだなぁ。俺に勝ってアイツにかっこいーとこ見せようとしてるのバレバレ。どんだけ俺に対抗意識燃やしてるんだか」
「…別に。ただ、アンタばっか見つめるのが腹立つ。だから、ここで俺の方が強いってこと示す。先輩だからって手加減はしませんから」
「はは、それなら俺も手加減出来ないなー。俺も後輩に負けるなんてカッコ悪いこと出来ないし。それに、芹崎が見てることだし」
明らかに挑発するようなことを投げ掛ける藤原に反応する。
挑発を受けて、自分のプレイが出来なくなってはいけない為聞き流そうとするも、何度も藤原は言葉をかける。
「そういえば知ってるか?芹崎って結構隠れファンがいるんだぜ。そりゃそうだよなー、あんだけ可愛くて頑張り屋な子なんて早々いないし、マネージャーとしても充分なくらい仕事が出来るんだ。男は放っとかないよなー」
聞き流せず、だんだん苛立ってきた叶多。
「何が言いたいんすか」
鋭い目つきで睨むと、余裕綽々とした笑みで、
「芹崎はお前だけのモノじゃないってことーー」
「!」
美晴は2人のやり取りが聞こえず、さらに不安の色を見せるあ。
それに気付かずに叶多はギリギリ…と歯軋りをし、苛立ちと対抗意識で身震いをさせる。
「早く決めましょう、キャプテン」