「キャプテン」

部活終了時間になり、それぞれが着替えようと帰り支度をしていると、叶多が藤原に呼びかける。

「ん?なんだ?」

急に話し掛けられて少し驚く藤原。

それに対していつも以上に真剣な表情で叶多は告げる。

「…俺と、1on1で勝負しませんか」

ザワザワッ…と周りの部員達が騒ぎ出す。そこで片付けをしていた美晴でさえ手を止め硬直をしてしまった。

「…それって、俺が『キャプテン』だって認識していての挑戦状か?」

「…はい」

更にざわめく周り。さすがにマズイと思った美晴は突然挑戦を申し出る叶多を止めようと前へ乗り出すと、

「いいだろう!その挑戦、受けて立つ!!」

(!?)

ニカッと藤原のトレードマークである満面の笑みで叶多からの挑戦を承諾する。

どこか楽しんでいるような藤原と、チャンスだと意気込む叶多。

(な、なんで急にこんな事に…)

頭を抱え、痛くなる胃を腹の上から押さえながら渋々試合の準備をする。