「迷惑は掛けられていないから安心しな。
 けれど、お前のヤケ酒は心臓に悪い。
 頼むから、あんな飲み方するな」



ナツメの言葉に
昨夜、どれだけひどい飲み方をしたのか
思い出すのが恐ろしく思えた。



「あんまり無防備だと
 俺に喰われるぞ」


「え!?」


「冗談だ」



普段そんな事を言わないナツメの
表情1つ変えずに発したブラックジョークは
とても笑えない。

社長という立場上
そんな事件は起こさないというのは
理解していても焦る。



「まぁでも
シキが知ったら知らねぇけど。
 朝になったら裸にされてるかもな」


「は、はだかッ!?」


「冗談だ」



2連発されるブラックジョークだが
シキに関しては
まったく冗談に聞こえない。
それは彼の普段の行いからなのだろうか。



「あーそうだ。
 アイツの名前出して思い出した。
 ったくあの男
仕事の話するのに電源切ってんだよ。
 どっかで見掛けなかったか?」


この流れで
シキを思い出したらしく
ヒメに投げられたが
『さすがに彼の行動までは…』と
考えながら、ふと気付いた。



「・・・あ」



『そういえば
 さっきそれっぽい人を見掛けた』と。