「もしかして居場所知ってる?」


「…本人であれば」



そう答えて
先ほど見掛けた出来事を話すと
ナツメから
思いがけない返事が返ってきた。



「それは間違いなくアイツだな。
 ったく、あのバカ
まだ女連れ込んでんのか…」



どうやらヒメが見掛けたのは
シキで間違いがなかったらしく
聞けば今日のような出来事も
珍しくないとの事。



「あんまり神崎には
直接関係ない事なんだけど
一応伝えておく。
あのバカ副社長
自分の部屋以外に別室があるんだ」


「別室…?」


「神崎の隣が本来の部屋で
その上の階に
もう1つあるんだけど
そこに毎回違う女を連れ込んでんだ」


「そう…なんだ」



部屋が2つと聞いて
通常なら書斎など
仕事関係かと思うが
シキに関しては
そうではないようだ。



「どういう部屋かは
 俺も入った事がないからわかんねぇけど
 ラブホの代わりにしてんだろ」


「ラブホ…」



ナツメの言葉に
驚く事もなく
むしろ納得してしまった。
さっきの光景からして
ヒメ自身も
そんな予感はしていたから。