「この教室から出た人間はいなかったわよ」
俺と海と先生が教室に戻った途端、花織が言い放った。
「え?」
「忍が死んだんでしょう。地下室で。違う?」
相変わらず鋭い奴だな。
「そうだ」
俺が頷いた瞬間、ざわつき出す教室。
先生が〝静かに!〟と注意しても静かにならない。
「星奈の夢希は遺体を見て気分が悪くなったってところでしょうね。死因は?」
海が事細かに地下室の様子を花織とその隣に座る凌平(伝えた。
「アリバイがないのは山田先生以外の教師と望月さんね」
……大人が……まだ若い高校生の忍さんを……。
「許せない……」
俺は犯人を絶対に逃がさない。許さない。
「外部からの犯行はありえないものね。そして、警察も呼べない。もちろん、この建物から出ることもできない。まぁ崖から飛び降りることはできるけど」
犯人はこの中にいる─。
忍さんを殺した犯人が……。