「翔耀……っ」

背中に伝わる星奈の震え。

「………海…っ…」

星奈の涙。

「…私…見たくなかった……っ。怖い……っ…。忍さんの姿が頭に焼き付いて離れないの……っ」

「………」

〝大丈夫だから〟って言えない。

そんな簡単に済ませられるような出来事じゃない。

「……上に戻って…休もう」

そんなことしか言えなかった。

「……うん……」

静まり返る螺旋階段の中、星奈の泣き声だけが響いた。