「そんな都合よく部屋を間違うとは思えないわ」

「構造上、間違いやすいんです。

Aの部屋もBの部屋も、螺旋階段中にある隠し扉から入りますよね?

あの螺旋階段は狭くて暗い。

しかも景色がずっと一緒。

方向感覚なんてすぐになくします。

Aの部屋とBの部屋が位置する場所は、部屋の扉の位置が、Aを基準にしたら約90°下に美術館の部屋があるんです。

90°はあの螺旋階段の段数に直すとおよそ6段くらい。

6段の違いなんてあの場所ではわからない」

「でも、それと同じ確率で間違わない確率があるのよ」

「それは……」

俺の推理には穴がある。

1つは証拠が1つもないこと。

もう1つは、今花織に指摘された通りのこと。