「犯人は忍さんで間違いないでしょう。

彼もアリバイがありませんから。

じゃあ遺体消失のトリックについてですが……。

桃花さんの遺体が発見された部屋をAの部屋とします。
次に、俺たちが部屋に入って〝桃花さんの遺体が消えた〟と思った部屋の事をBとします」

「別の部屋ってこと?」

「そうです。AとBは別の部屋だったんです。

これも、俺たちは〝全く同じ造りの部屋がある〟とは思ってもないから、AとBは同じ部屋だと思った。だから遺体が消えたと思ったんです。

遺体が消えたとき、一緒に置時計も消えたんです。

その理由はおそらく、部屋の全く同じAとBの部屋を区別するために置時計だけを変えたんでしょう。

そして、俺たちが最後に遺体を見つけた部屋はAの部屋。

だから再出現したと思ったんだ。

遺体は動いてなんていない。

俺たちが入った部屋が違ったんだ」