「……遺体には刃物が刺さっていた。

なのに辺りは血の海だったという点。

血が吹き出すのは、刃物を刺したときじゃなくて刺した刃物を抜くときだ。

そりゃ、刺しただけでも血は出るけど、血の海にはならない。

じゃあなぜ血の海があったのか?

それは犯人がつくりだしたから。

おそらく血糊で。

もちろん、遺体に近づかせないために。

遺体に近づける状況だと、脈が確認できちゃいますからね。

忍さんの遺体の回りは血の海でとても脈を確認するなんて無理だった。

それくらいの量の血が出てるなら当然死んでいると思ってしまう。

だから脈は確認しなくても大丈夫。

そういう心理を利用したんです。

犯人は」