「玄関せまっ」

玄関は、30人入るとギュウギュウだ。

そして、目の前は壁で覆われており、扉が見当たらない。

玄関に入ったものの、どこにも行けない。

行き止まりだ。

背後にある、さっき入ってきた出入り口しか扉がない。

「先生、行き止まりだけどどうやって進むんですか?」

それに、全体的に暗い。

ライトで照らさないと見えない。

「まぁ見てろ」

先生は、手元をライトで照らしながら壁を片手で押した。

すると、隠し扉だったようで、壁がそーっと動き、人が一人通れるスペースができた。

「すげー……」

壁は、オシャレな彫刻がしてある。

どこかが目印のようだ。

ドキドキしながら隠し扉をくぐると、目の前は階段。

相変わらず狭いし暗い。

しかも、超緩やかな螺旋階段。

そして、下が見下ろせないように、壁で両側は塞がれてる。

階段の幅は人一人通るのがやっとの幅。

「地下まであるんだねぇ……」

夢希が呟いた。

先生は、螺旋階段を上っていく。

「今から寝室に案内するから、男子は俺に、女子は松尾先生についていきなさい」

松尾先生は保健の女の先生だ。

「女子はこの階なので松尾先生お願いします」

この階っつっても、踊り場もないのによくわかるな。

松尾先生は、隠し扉を開けて、女子を誘導した。

俺はそれを見てから、男子の列の最後尾に並んで歩き始める。