その後、私と幸哉先輩は裏庭まで来た。

「なんで泣いてんの?」

幸哉先輩はわらいかけてくれた。

前みたいな、あの笑顔で。

よかった。

やっと元に戻れたんだ。

「嬉しくて。絶対…っ振られると思ってたから…っ」

そう言った私に、幸哉先輩は衝撃的な発言をした。

「俺さぁ。おっけーしてないよね?」

…え?

幸哉先輩は、さっきの暖かい笑顔から、冷たい顔になっていた。

「抱きしめただけじゃん。なのにみんな勘違いしてるし。お前まで。」

どういう…こと?

「ごめんなさい。俺は、星崎夢愛さんとは付き合えません。これでいい?」

私は、天国から地獄に落とされた気分だった。

あぁ…そうか…振られたのか、私。

私は1度目に振られたときのように泣き崩れた。

もう、よくわかったよ…。

こんなにひどいことができるほど、先輩は、私のことが嫌いなんだ…。

「…なんでそんなに泣くわけ?そんなに俺のこと好き?」

あんな恥ずかしい思いまでして告白じゃない。

大好きに決まってるじゃない。

「好きだよ…っ!大好きだよ…っ!」

私は、怒ったようにそう言った。

「ふうん。なら付き合ってあげてもいいよ。」

え?ほんとに?

この人は一体なんなんだ。

「でも、お前のこと好きじゃないけどね。それでもいいなら付き合ってあげるよ。」

ズキン、と胸が痛んだ。

でも、それでもいい。

付き合ってくれるなら。

「どうするの?付き合うの?」

「はい。お願いします。」