万優架ちゃんはハァハァと息を切らしながら、僕の元に駆け付けてくれたんだ。



「…ハァ…ハァ……翔夜くんっ……心配したんだよ?」



膝に手をついて、万優架ちゃんは額にかいた汗をぬぐう。



「皆、ご飯食べるの待ってくれてるよ?早く行こう?」



「うん……………」




なんで?



なんで捺夜じゃないの?



僕は捺夜を求めたのに



なんで、捺夜じゃなくて



万優架ちゃんなの?




「………翔夜くん?」



「………うぅっ…」




止まっていた涙が一気に溢れ出した。



やっぱり捺夜は、



前の捺夜に戻る事なんかないんだ。



今までホントのホントは
心の片隅に期待心を隠していた。



捺夜の事だから、



僕といたら、そのうち思い出してくれるだろうって



本気でそう思ってた。



でも、捺夜は助けになんか来てくれなかった。



これで、



僕と捺夜の間に



大きな距離ができたんだって事が



よくわかった。