「おぃ、どうした?」
え!?
人の声が後ろから聞こえて僕は安心しながら、
「実はっ……」
振り向いた。
「な………」
「……」
「捺夜………」
相手は、捺夜だった。
捺夜は制服じゃなくて、ジャージをかっこよく着こなしていた。
そんな捺夜は、相手が僕って事に気づいたからか、驚いた顔をして僕を見ていた。
「………」
「お前、何やってんだ?」
「………」
僕はムッスーとした顔で捺夜から視線を反らす。
なんで、よりによって一番会いたくない人に会わなくちゃいけないのさっ
「ハァ……勝手に一人で永遠にさ迷っとけ」
捺夜はかったるそうに髪を手でかいた後、ポケットに両手を突っ込んで、僕の前を通り過ぎる。
なんだよ、なんだよ
助けてくれたっていいじゃんか。
頬を風船のようにプゥっと膨らませて、捺夜にあっかんべーってした。
いいもんいいもん!!!!
捺夜の助けなんかがなくっても
一人で大丈夫だもん!!!!
僕は出てきそうになっていた涙をグイッと拭いた。