「お前は…お前だ」 わたしは そっと稲葉の手を握った。 「せんぱ…」 「もっとも、お前が一番そう言って欲しいのは、父親だろうがな」 ぎゅっ…と、稲葉の手に力が入った。 「……いえ…俺…」 声が少し震えていた。 「稲葉」 「……はい」 「お前、わたしの言うこと何だって聞くか?」 「当たり前っすよ!」 「じゃあ…… キスしろ」 .