恭二はふと立ち止まり

わたしを見た。



「……」

「…俺…絶対いばらちゃんはあの後輩くんと行くと思っててん。
せやから、正直、メール来たときは嘘や思うた。」

「……」

「なんか、あるやろ?」




相変わらず

勘が鋭いのは昔からだな。






「気持ちに…踏ん切りつけるため……かな」

「…」

「好きかどうか、わからないけど
……ちゃんとしておきたいから」







恭二は、顔を上げて呟いた。








「……これが…俺との『最初で最後のデート』ってことか」


「…ほんとに…ごめんな。


…でもわたしは……この気持ちをアイツに賭けてみたいんだ」





わたしの言葉に

恭二は少しだけ、微笑んだ。




「付き合ってくれて…嬉しかったわ」



そう言うと、恭二は帰っていった。









わたしは暫く、去り行く恭二の背中を見ていた。










気がつくと川辺には人が集まっていた。










もうすぐ花火が上がる。








「そろそろか…」











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