わたしは首を傾げながら、その転校生を見た。


にしきや…きょうじ……か。


聞き覚えが無いな。



「あぁ…そうや。
紅野さん…生徒会長なんやてな。
…悪いけど、休み時間にでも学校案内してくれへん?」

「………構わないけど?」


めんどくせぇな。

なんで、このわたしが…。



昼休み、わたしは錦谷を連れて、校内を回った。


「いばら先輩だ」

「…隣のって…彼氏?」

「超かっこいいんですけど!!」


さすがに、わたしと錦谷が並んで歩くと、かなりめだってしまう…。


「俺ら恋人に見えんねやなぁ」


感心するな…!!


「あの…錦谷くん、悪いけど少し離れて歩いてもらえるかしら…」

「あぁ…ごめん。迷惑やった?」

「そんなことないわ。
でも、わたし恋人つくる気ないから…そんなふうには見られたくなくて」


まぁ、要するに、迷惑なんだよ。

結局ね。


暫らく二人とも無言で歩いていると

見覚えのある奴が生徒会室の前に立っていた。


「…あ、いばら先輩!!」


大きく手を振りながら走ってくるソイツ。


言うまでもない……。



稲葉だ。