壱里と付き合い始めて、一年半。


わたしは、髪が伸びて、身長も高くなった。

壱里は、大人っぽくなって、性格も男らしくなった。


「壱里、そろそろ帰らなきゃやばいかも。
雨降りそうだよ」

「本当だ。もうちょっといたかったなぁ」


壱里は口を尖らせながら、今にも雨が降りそうな空を睨みながら、言った。



「楽しかったな、映画」

「でも、わたしあの主人公みたいに、恋人なくしたら生きていけないなぁ…」


わたしは、床に落ちているシャツを羽織りながら

昨日見た、映画の内容を思い出した。


お互い、心の底から愛し合った二人が、死に別れるという

話題の悲恋映画。


思わず号泣してしまった。


「どうする?もしも俺が明日死んじゃったら」

「ばっか!もしもの話でも、そんなこと言うな。
また明日、ちゃんと会えるだろ」






でも


わたしたちに、その『明日』は




来なかった。