わたしは、間抜けな顔をする壱里の髪を引っ張った。


「あんたのことが好きだって言ってんの」


周囲の人が、ざわざわと騒ぎ始めた。


「そ、それはどーいう…」

「そのまんま」


壱里は、真っ赤になって、慌てだした。


「ちょ、待って…!俺ら、あの…今日初めて……や…でも」

「何??」

「…お、……俺も好き!!」



ある意味バカップルだ。



帰りぎわ、わたしと壱里は一緒にいた。


梓も一緒だけど。


「いばらちゃんは一目惚れ、だよねぇ。
兄ちゃんは?」


「お、俺はぁ…梓からプリクラ見せてもらったり、話聞くたびに…会ってみたいなって思ってて…」


「実際会ってみて惚れた、と」


「はい。」




わたしは、壱里があまりに素直だから、つい笑ってしまった。


可愛い人だなぁ。



年上なのに…。