当時低かった柵は、飛び降り防止のためか金網が高く張り巡らされていた。


その前まで来ると、先輩は私の手を離した。


「やっぱり綾乃....憶えてるか」


不安そうな私の表情を見て先輩はポツリ言う。


先輩は金網に手をかけて下をのぞいた。


「こんな高いところからよく飛び降りようとしたよな」


一平くんの真意がつかめず私は黙っていた。


「綾乃も見てみる?」


「ううん」首を振る私。