「小坂もいたのか？」


何気ない先輩の問いだった。


なのに、小坂くんは余計に気分を悪くしたようで、

「俺もここで勉強してたんすよ。
コイツのバカさ加減、相当ヤバいですよ」


私の肩をポンポンと叩き、小坂くんは腰を下ろしていた机から立ち上がると、



「失礼します」



ちょっと不愛想にそう言って自分が勉強していた席へと戻って行った。


その様子を先輩と見守る。


「何だあいつ？」


首を傾げる一平先輩。

無理もない。小坂くんのイライラの事情を知らないんだから。