半分くらい人がいなくなった

教室を見渡してみるが、

湊の姿が見当たらない。

仕方なくスマフォのメッセージを開いて、

『先に帰ってるぞ』と送ると、

1秒も待たずに既読が付き、

5秒以内に返信が返ってくる。


『正門にて待ってるよ(ハァト』


確認だけしてメッセを閉じる。

教室から出て階段で1階まで下りる。

靴を履き替えて、ゆっくり正門まで向かう。



ふと、昇降口から開けた外の世界に

目を奪われ、周りの音が消える。

今日は少し風が強いせいか、

まだ蕾の残る桜が花びらを散らせている。

自転車を押していったり、

友達と話しながら歩いたりして、

生徒たちは校門に向かってく。

雲がまばらに流れている水色の空と、

このより少し低い土地の住宅街を背景に、

それらが一枚の写真となって頭に残る。


それが、高校3年生最初の一枚目。