あれから、なかなか寝付けなくて、結局缶ビール2本空けた。それでも眠れる気がしなくて、部屋のテレビをつけた。ちょうど深夜のバラエティー番組が映し出された。
思ったよりも音量が大きく、びっくりした。
慌てて、音量を小さくした。
さっきの音で起きたのか、弟が部屋をノックした。
「アネキまだ起きてるのか?」
「しょう、ごめん。うるさかった?」
私が、謝ると、翔が部屋にはいってきた。

 「アネキがこんな時間まで起きてるの珍しいな。なにかあった?」
そう言うと、翔はデスクチェアに腰掛けた。
ああ、これは正直に話さないと、長居されそうだ。

 「お父さんと話し合った後ね、報告しようと思って、彼に電話したら、・・はぁ~、女の人が出た。」
「え?それで?」
「それで?って、それだけよ。びっくりしてすぐ切っちゃったし・・」
「それで、落ち込んでんのかよ。」
「だって、どうしたらいいか、分かんないし。」
「取り敢えず、ちゃんと確認したら?彼氏に。」
「そうなんだけどさ、なんか確認して修羅場になったらどうすればいいのよ?はぁ~、簡単には出来ないよ。」
「そうだけどさ、聞くしか解決策ねーじゃん。」
「だよねー。」
はぁー、溜め息しか出てこない。

 「取り敢えず、もう寝れば?お肌にわりーんだろ?」
「ああ、そうだった。明日は、大事な会議があるんだ。寝なきゃ、お休み。電気消しといて。」
「なんかさー、アネキは社会人としては正解だけど。女として間違ってねぇ?」
「泣きはらした顔で、会議出られるわけ無いでしょ!!」
「まぁ、それでこそアネキだよなぁ。」
そう言って、翔は、律儀に電気を消して部屋を出て行った。