しなきゃいけない事を終えて、やっと自分の部屋のベッドにたどり着いた。
 時刻は午後10時過ぎ、支社長にはラインで報告はしたけど、話がしたい。
というより、声が聞きたかった。
たった2日しか経ってないのに。
明日の夜には会えるのに。
そんな事を考えながらも彼に電話をかけた。

 ぼーっとしてたからだろうか、なかなかでてくれない事に漸く気づき、切ろうとしたところで声が聞こえた。
どう聞いても、女性の声だった。
  
  えっ?

 思わず、電話を切ってしまった。
どういうことだろう?
自分の携帯の発信履歴を見る。
確かにかけた番号は、彼、武中悠斗の携帯番号で間違いなかった。
なんで?どうして女の人が彼の電話に出るの?
嫌な予感しかしない。
 例えば、彼が電話をどこかに置き忘れたりして、たまたま拾ってくれた女性が出たとか、居酒屋みたいな場所にいて、酔っ払いが間違えて出たとか、そんな風に考えれば良いのかもしれない。
でも、私の予感はそんな事じゃないと、今、彼は、女性と2人きりで会っているんじゃないかと告げていた。
そんな事ないっ!頭を振って、込み上げてくる不安を、抑えた。

 ベッドに仰向けになり、もう一度電話をかけるべきか、考える。
また、女の人が出たら何て言えばいい?
悠斗さんがでたとしても、何を聞けばいい?
さっきの女、誰?って聞くの?
そんな事したら、確実に修羅場だ。
ダメだダメだ駄目だ。
明日は、大事な会議がある。
今は、なかった事にしよう。
部屋の電気を消し、無理に眠りにつこうとした。