長瀬と付き合うってことは、私の中で宇宙と同じくらい謎であふれてる。


「咲希の恋愛スピードが遅いのは、あれこれややこしく考えるからなんだろね」


茉莉は意外にも茶化すことなく、私と茉莉を隔てる机に頬杖をつきながら、私をじっと見つめてくる。


「もっと、自分の心に素直になって行動すればいいのに。いわゆるイチャイチャするってやつもさ、それをするために付き合うわけでも、付き合ったからそれをしなきゃいけないわけでもないんだよ。ただ、心の距離が近くなればなるほど、相手の近くに行きたくなる。相手の全部を知りたくなる」


茉莉は、不安を逃がすように握りしめていた私の手に自分の手を添える。


「だからそういう行為も、あれこれ考えず心に素直になった結果、自然と受け入れられるもんなんじゃないかな?怖いも何も考えてる暇もなく、気付いたら関係が変わっていってるんだと思うよ」


そういうものなのかな?


私も茉莉の言うようになる?


そんな私、全然想像できないよ。


だけど、そうなり始めてる自分に心当たりがないわけでもなくて……。