何で浅木くんが長瀬に対する私の気持ちを知っているのかというと、私がこの気持ちに気付いたあの日の放課後、浅木くんからの思いに決着をつけに行ったからだ。
『ごめんなさい。浅木くんとは、やっぱりお付き合いできません』
そう言って頭を下げる私に浅木くんは、『何となく分かってました』と言って、眉を八の字にして笑う。
『先輩、長瀬のことが好きなんですよね?』
そんな浅木君からの問いに、誤魔化すのはかえって失礼だと思った私は、赤くなる顔を隠すように俯いて、小さく頷いてみせた。
『先輩が、よく考えて出してくれた答えなら悔いはないです。ちゃんとふってくれて、ありがとうございました』
イケメンってこんな時までも爽やかなんだね。
きっと、浅木くんは根っから素敵な人なんだ。
私の頭をポンポンと撫でて笑顔をくれた浅木くんは、いつか私なんかより何倍も何百倍も素敵な子に出会える。
そんでもって、何倍も何千倍も幸せになれる。
間違いなくそんな気がした。
一方私はといえば、気持ちは自覚したものの、一体これからどうするつもりなんだ……。
「告白、しないんですか?」
「しないよ!ってか、この話やめて!長瀬に聞こえる!!」