「は?何が?」


「センパイこそ、春斗と付き合うの?付き合わねーの?」


「春斗って…」


「浅木」


「あ〜。それなら……」



–––––––ドスッ!


そう言いかけたと同時に、何かがものすごい勢いでぶつかってきて、長瀬の体がよろめいた。


「ってぇな、てめぇ…」


「うるせー。ばーかばーか」


「浅木くん!?」


今、間違いなくわざとぶつかってきたよね?


まさしくヤンキーといった形相で睨む長瀬を気にもとめず、「先輩おはようございます!」と言って王子スマイルでこちらに片手をあげてくる浅木くん。


そんな浅木くんに。


「あ、お、おはよう!」


と、ぎこちなくなってしまう私の態度には、れっきとしたわけがある。



「花枝先輩って、やっぱり見る目ないですよね」


「え?」


「ホント、こんなヤツのどこがいいんだか…」


「ちょ…っ!ちょっと浅木くん!!」


長瀬の前でそれは言わないで!!という意味を込めて、必死に顔の前で人差し指を立てている私に「あれ?まだ言ってないんですか?」と呆れた様子の浅木くん。


そう。