それは私の方だ、とは言えなかった。もしかしたら、ロビンが私に生きてほしいと願って動くことも自分勝手と言えるのかもしれないと思ったから。少なくとも、ロビンはそう感じているのだと思ったから。

でも、そうして彼がわたしが生きることを望んでくれるから、わたしは生きていまここにいる。迷子にならずに真っ直ぐ歩いていける。


「もう二度と謝らないでね。わたしも二度と、あの日みんなと一緒に死にたかったなんて思わないから」


ロビンの右の掌を取って抱きしめた。ここはとても寒いのに、彼の手はとても暖かい。はっとした表情でロビンはわたしを見下ろす。


「ロビンが望むから、私は生きていける。昔の人が、ポラリス(北極星)で自分の位置を把握したように。ロビンはわたしのポラリスだよ」


彼は明日を真っ直ぐに見つめ、歩んでいくポラリス。どうか、すぐに迷子になるわたしを導いて。家族も友達も帰る場所もなくなっても、ロビンだけは私の隣にいてくれるのでしょう。だったら、私だけはロビンの隣で生きていよう。


「ありがとう、ソフィ。ソフィがいるから、僕は強くなれるよ」


わたしたちはふたりぼっち。失ったものは元には戻らなくても、どれだけいろんなものが変わっても、明日をゆくポラリスの存在だけは変わることはないだろう。