「ソフィが今、あの日みんなと一緒に死にたかったって思うのは、あの日から今日まで、ううん、これから先もずっと苦しいからだ。家族も友達も帰るべきだった場所も思い出も雪に埋まって、それはもう二度と手に入らない。でも、それを望まずにはいられないから。

ごめん。それでも、何もかももう手遅れかもしれない。他のすべては失ったかもしれないあの状況で、ソフィだけは手放したくなかった。生きていて欲しかった。この先どれだけの孤独が待っているか。今死んだ方が楽なんじゃないかって思っても」


ロビンは聡いから、わたしより多くのことを見据えている。いつも、私の一歩先を歩いて待っていてくれる。我儘を許してくれる。なんて、優しいんだろう。自分勝手なわたしに彼は生きていてほしいと言う。


「死んでなにもかも失うより、ソフィと一緒に生きる未来が僕は欲しかった」


こんなに強い言葉で生を望む彼が、本当に一瞬でも死を望んだのだろうか。あの絶望の中で、そこまでのことを考えて彼が行動していたなんて、驚き以外の何物もない。同時に、その眩しさにわたしは勝てないだろうことを強く感じる。


「ロビンはどうしてそんなに強いの」

「僕は自分勝手なだけだよ」