「和ちゃん、顔を見せてくれないかい」
肩にそっと乗った手
「あの子が…息子が死ぬ気で守った、
息子が守り抜いた君の顔を見せてくれないかい」
あまりにも優しい言葉に反射的に顔が上がった
「あぁ…!可愛い顔が涙でぬれちゃってるじゃない!
ティッシュ取ってくるわね!」
そんな慌てた調子で仏間から離れていくおばさん
優し過ぎる2人に声も出せない
「あんまり自分を責めないでおくれ。
和ちゃんのせいじゃない。
君が生きてるのはは貂樹の意思だよ。
それに、息子が人様の命を守って、その子が今元気だなんて
こんなに嬉しいことはない。」
少し涙が見える目を細めて笑うおじさん
そんなことを言われて涙が出ないわけがない