目を閉じると、マメの泣き顔が浮かぶから。



散らかり放題の部屋を、寝転がったまま眺めていると、そこら中にマメの跡があった。

勝手に持ち込んだ化粧品とか、途中までしか集めてない漫画本とか、よくわかんないダサいキャラのぬいぐるみとか。

こんなに私生活にマメがいたなんて、思わなかった。



『コウちゃん、でもね、キスは、ちゃんと好きな人としなきゃ駄目だよ』



……駄目だ。目を開けていても、マメのことで頭がいっぱいになる。

俺がマメにしたこと全てが、彼女にとってあまりに残酷すぎて。

でも、マメ、俺は。


「あ」


バサバサッ。

マメが置いて行ったぬいぐるみを寝転がったまま取ろうとしたら、ベッドに積み上げていたジャンプを落としてしまった。


「あーあ……」