「エビチリ美味しかったねー」
「だからなんでお前も一緒に食ってんだ。自分家でも食ったんだろ」
「だってコウちゃんのママがねー、今日は美味しくできたって言ったから」
「そうか。どうでもいいから出てけ出てけ。何度も言うがここは俺の部屋だ」
「やだー、まだジャンプ読み終わってなーい」
「まじうぜー」
当時の俺は15歳。反抗期真っ盛りで、正直マメがくっついてくるのが本気で鬱陶しいと感じていた。
俺はエナメルバッグを床に置いて、マメをドアまで引きずった。
「それもうやるから帰れ」
「わーい」
「マメ、俺は他の皆と違って、受験があるんだ」
「え」
「俺は、あの学校を中途退学して、都内の理系高校を受ける。ここから40分かかる塾に替えて、明後日から電車で通う。だから、もう一緒には帰れない」
「……これからずっと?」
「そうだ。これからずっとだ」
「……そっか。コウちゃんも、遠くに行っちゃうんだねえ……」