「なんかコウちゃん、運転上手い……?」
「ふ、マメに上手いとかわかんのかよ」
「分かるよ、なんとなくだけど」
「あーあ、はじめて助手席乗せたのがなんでマメなんだろーなー。彼女とか乗せたかったなー」
「あの、彼女彼女、私」
「あ、そうだったわー」
「笑えん……」
「はは、めっちゃ怒ってる」
コウちゃんの笑えないジョークに、私は怒りで震えた。
でも、念願の初デートに、私は有頂天だった。
田舎道だから、たまーに牛丼屋のチェーン店の看板とかが通り過ぎるだけなのに、なのにどうしてこんなにわくわくするんだろう。
車のライトが暗闇を照らして、その部分だけ景色が流れていくのが分かる。
車内に流れるコウちゃんの好きなバンドの曲、それに合わせてうっすら聴こえるコウちゃんの唄声。
……不思議。
部屋に二人きりでいる時より、“二人きり”って感じがする。