女の人はその男の人の背中を見送ると、俺の方を見た。



いや、正確には俺の隣の女の人の遺体を見ていた。



「首に絞められた跡……。でも、直接的な死因は腹を裂かれたことで起きた大量出血による失血死かな」



触れてもいないのに、見ただけでそれが分かるなんてこの人は何者なのだろう?



「また子宮が潰されてる。まったく酷いことを……」


彼女は遺体に手を合わせると今度こそ俺の方を見た。



──綺麗な女の人だった。



顔のパーツも華奢な肢体も何もかもこの世の人ものとは思えないくらい完璧で、今まで会った誰よりも綺麗な人だった。




「君が小鳥遊天河君?」



「何で俺の名前を……」



「それは──」



女の人の話を聞く前に首の後ろ辺りを叩かれて、俺の意識は暗転した。